共謀罪、一般人対象の余地「犯罪行う団体に一変の場合」
テロ等準備罪の審議でしどろもどろの金田法務大臣
犯罪の計画段階で処罰する「共謀罪」の要件を変え、「 テロ等準備罪」を新設する法案をめぐり、法務省は16日、「 正当に活動する団体が犯罪を行う団体に一変したと認められる場合 は、処罰の対象になる」との見解を明らかにした。 これまで政府は、「一般の市民は対象にならない」としてきたが、 捜査当局の解釈や裁量によっては対象になることが明らかになった 。衆院予算委員会の理事懇談会で、法務省が文書を示した。 法案はまだ国会に提出されておらず、「 テロ等準備罪の具体的内容は検討中」と前置きしたうえで、 対象となる「組織的犯罪集団」については「 結合の目的が重大な犯罪などを実行する団体」 という趣旨で検討していると説明した。
加えて、「もともと正当な活動をしていた団体」も、その目的が「 犯罪を実行することにある団体」に一変したと認められる場合は、 組織的犯罪集団に当たり得るとの見解を示した。 2000年代に3度提出された「共謀罪」の法案は、「 市民団体や労働組合も対象になる」との批判や懸念が相次ぎ、 いずれも廃案になった。このため今回は、 安倍晋三首相や金田勝年法相が通常国会の答弁で、「 組織的犯罪集団」に対象を限定することで「 一般の市民は対象にならない」と強調してきた。
政府によると、「組織的犯罪集団」としては、懲役・ 禁錮4年以上の「重大な犯罪」 などを目的に集まったテロ組織や暴力団、 振り込め詐欺グループなどを想定。 役割を決めて具体的に犯罪を計画し、 実行に向けた準備行為をすると処罰される、と説明してきた。
一方、金田氏は2日の衆院予算委で、 正当に活動する団体について「 団体の意思決定に基づいて犯罪を反復継続して行うようになるとい ったような、団体の性質が一変したと認められなければ、 組織的犯罪集団と認められない」と答弁。性質が変われば、 適用の対象になる可能性を示唆していた。「 普通の団体が性質を変えたら、対象になるのか」 という問いへの金田氏の答弁が不十分だったため、 同省は統一見解を出すよう求められていた。
同省は文書について、「これまでの説明を整理したもので、 矛盾はない」としている。
一方、金田氏は2日の衆院予算委で、
同省は文書について、「これまでの説明を整理したもので、
これに対し、民進党の山尾志桜里氏は16日、記者団に「( 団体の)性質が変わったと捜査機関が認定すれば、 組織的犯罪集団に当たる。 一般人も対象になり得ることが明らかになった」と指摘した。
( 朝日新聞 2017/02/17)
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