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「高齢化した農家にとどめをさすためにTPPに入る」の間違い?


■■■ 日刊IWJガイド 2015.5.1日号~No.961号~ ■■■(抜粋)
(2015.5.1 8時00分)

おはようございます。IWJでテキスト関連の仕事をしている佐々木隼也と申します。

一昨日の深夜に行われた安倍総理の米国議会での演説、みなさまはご覧になりましたでしょうか?
僕は事務所でその模様を観ていたのですが、深夜で疲れていたからでしょうか、だんだんと安倍総理が、おじいちゃんを追慕する幼いコドモのように見えてきました。すると不思議なことに、あのスピーチも「背伸びをしているコドモが必死に頑張っているな。これはおじさん、応援してあげないと!」などと思えてきました。



……というのは、嘘ですが。

内容のあまりの酷さに、そんな夢想をして、現実逃避もしたくなるものです。

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■「農業が衰退しているからこそ、TPP」??? 意味不明な演説内容

昨日のガイドで言及したように、安倍総理は、国会論議も不十分な「安保関連法案」を、勝手に、「この夏までに成立させます!」と約束してしまいました。日経新聞なども勝手に、これを「国際公約」などと書く始末です。

米軍の下請けとして、米軍が世界中で勝手にやらかす戦争をサポートするために、「戦争のできる国作り」に励みますと勝手に宣言してしまうのですから、いかに安倍総理が日本の国会、日本の民意を「どうでもいい」と思っているのかが良く分かりますね。

で、この演説には他にも問題点がたくさんあるのですが、僕が特に「おいおい!」と思ったのは、TPPのくだりです。安倍総理は演説で、こう(聞いてもいないのに)こう語りました。

「実は、いまだから言えることがあります。20年以上前、GATT農業分野交渉の頃です。血気盛んな若手議員だった私は、農業の開放に反対の立場をとり、農家の代表と一緒に、国会前で抗議活動をしました」

しかし…と続けた安倍総理は、この20年で農業は衰え、農家の平均年齢も66歳を超えたことを挙げ、「日本の農業が生き残るために農協改革を断行した」と胸を張ったのです。

は?  高齢化の進んだ農家が生き残るためにTPPに入る?

高齢化した農家にとどめをさすためにTPPに入る、の間違いかと思いました。

まったく意味不明ですね。なんの言い訳なのかさっぱり分かりませんが、農家が高齢化して衰えている時ならばなおのこと、日本の食料安全保障のためにも、より一層、農家を守っていかなければならないはずです。せめてEUや、それこそ米国レベルの農業保護はすべきです。

TPPで農業市場が開放されたら、大量生産・超大規模経営のオーストラリアや米国、安い賃金で生産コストの安いアジアの農産品には、価格の面で絶対に太刀打ち出来ません。結果、必ず日本の農業は壊滅します。

農業が衰えているからこそ、TPPでさらなる農業市場の開放を、というロジックは支離滅裂で、言い訳としても意味不明です。聴いていた米国議員も、キョトンとしたのではないでしょうか?

「ん?  エイブ、何言ってるんだ?  意味は分かんないけど、まあ農業市場を明け渡してくれるんならありがたい!

そんな感じで、大きな拍手を送ったことでしょう。

安倍総理には、以下のインタビューの1本でも良いから、観ていただきたいと思います。どれも、日本の農業の現状と、TPPによる現実的な懸念について指摘するものばかりです。もし、このガイドを読んでいる方に、安倍総理の「お友達」か、「友達の友達」がいたら、ぜひ強く薦めていただければと思います。

・2015/04/17 万歳会長の突然の辞任劇は「TPP反対封じ」工作!?
TPA法案提出、安倍総理の米議会演説の裏にある日米両政府の思惑を、山田正彦元農水相が岩上安身のインタビューで暴露!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/242893

・2015/02/08 「今、行われているのは農家の安楽死、いや、虐殺です」──窮地に追い込まれた日本の農業、生き残りをかけた「民衆の農業」とは?~岩上安身による農業ジャーナリスト大野和興氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/231297

・2014/11/19 【大義なき解散総選挙】隠された争点――消費税以上に国民生活を直撃するTPP、「農家は潰していい」が安倍政権の本音?~山田正彦元農水相が警鐘
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/207112

・2013/11/28 「TPPで沿岸の漁業権が外資に奪われる」 ~山田正彦元農水相が岩上安身のインタビューで明かす衝撃のリーク文書
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/113840

(途中、中継プログラムは割愛)

■安倍総理の目指す「明治のヘイトスピーカー」福沢諭吉の実相に迫るインタビューを特報で発行!(再配信もあるよ!)

「『強い日本』。それを創るのは、他の誰でもありません。私たち自身です。『一身独立して一国独立する』。私たち自身が、誰かに寄り掛かる心を捨て、それぞれの持ち場で、自ら運命を切り拓こうという意志を持たない限り、私たちの未来は開けません」――。

これは、2013年2月28日、第183回通常国会における、安倍総理の施政方針演説の中の冒頭の一節です。

「一身独立して一国独立する」という文言は、福沢諭吉『学問のすゝめ』の中に登場するものです。これは、普通であれば「市民的な自由と個人としての権利が確立されてこそ、一国の独立がある」という意味で解釈されます。

しかし、福沢諭吉のテキストを精読すると、そんな「リベラル」な福沢諭吉像は音をたてて崩れ去り、実際は正反対の国権拡張、民権軽視の人間だったことが分かります。朝鮮人に対し「腐儒の巣窟」「奴隷の群衆」「牛馬豚犬」などと口汚く罵り、中国人、台湾人、そして日本の貧困層にまでその容赦ない侮蔑の矛先が向かいます。

いったい、この福沢諭吉の「ヘイトスピーチ」が許容された明治とは、そして今の安倍政権が憧れる明治とは、実際はどのような時代だったのか。

岩上さんは昨年9月3日、福沢諭吉に関する数多くの研究書を発表している名古屋大学名誉教授の安川寿之輔氏にインタビューし、その実態を明らかにしました。

本日は、17時30分からCh1で、そのインタビューを再配信します。あまりのロングインタビューとなったため、本日から3夜連続で配信予定。本日はその「第一夜」です。ぜひ、ご覧ください!

もし見逃してしまう、という方は、IWJの有料会員であれば、以下の記事URLよりいつでも全編ご覧になることができます。ぜひ、この機会に会員となっていただき、「本当の明治」を知っていただければと思います。この本当の明治こそ、安倍政権が目指す理想国家の形でしょうから。

・2014/09/03 「奴隷の群衆」「牛馬豚犬」…”元祖ヘイトスピーカー”としての福沢諭吉を徹底検証~岩上安身による名古屋大学名誉教授・安川寿之輔氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/166258
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