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「『まさに』という言葉をよく使う安倍首相

知人からの興味ある話を記録しておこう。
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金田一秀穂(杏林大学教授)が「言葉の力を信じない首相」というタイトルで朝日新聞のオピニオンで述べていたことが印象に残りました。

「言葉には、描写の言葉と行為の言葉があります。『椅子に座る』は描写の言葉です。でも、『椅子に座ってください』とか『ありがとう』というのは、それ自体が行為ですよね。」つまり政治の言葉は、約束するとか、宣言するとかの行為の言葉だと述べております。安倍首相は饒舌ではあっても人々に届く言葉を語っているとは言えません。決して他人ごとではないのであって、自らも語る者として果たして人に届く言葉を語っているであろうかと自戒させられた。金田一さんは安倍さんの言葉は「軽い」と指摘しています。



「『まさに』という言葉をよく使うんですね。スパッ、スパッと言い切っていく。深く考えないから言い切れるんです。」と続けている。

確かに第一次安倍内閣の時の彼の答弁やインタビューは歯切れが悪く、どこか言葉を出すのも自信がなさそうな態度だったように記憶しています。おそらく痛恨の退陣劇を経ての無役期間に、言葉遣いについて誰かの指南を受けたのではないかと思うくらい首相に返り咲いた時の彼の言葉には自信がみなぎっていて驚かされた。ところが、彼が学んだのは「話法」であって「言葉の力」そのものではなかった。だから、原爆式典でも平気で昨年のコピペをやってのけてもお構いなしなのです。

金田一さんの専門は日本語学ですが、言語学者の金田一京介さんは祖父にあたり晴彦さんは父ということで三代にわたって日本語を専門とする一族です。
単なる専門バカではなく批評としての言葉の力を説く学者なんだと感心させられた。

そうだ、加藤周一の『言葉と戦車』を思い出した。
2014年9月7日

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